ギリシャ語練習プリント

ギリシャ語練習プリントの詳細

◯各ページの例文のギリシア語を書けて読める、意味がわかるのが目標。西洋古典哲学・文学等や新約聖書に専門的に関わるわけではないものの、古典ギリシア語が気になった人が、当面の目標とすべき本がやっと出来たと思います。 『しくみ』（白水社）もこの本と合わせることで、単なるためになりそうなものの無味乾燥な話を読んだだけに終わらず、その意味を理解し体感できるのではないかと感じます。◯最初に取り組むのに、文字、発音、文法、語彙と文章、分量のバランスが丁度よい塩梅。文字を覚えるだけだと無味乾燥過ぎるが、原書を読む力を付けるのには時間と労力と根気が膨大過ぎ。 本書では、そんなギリシア語を気になっている、通りすがりの学習者が取り組める分量になってるかと思われます。◯実際、ギリシア語は既存の学習書では、その複雑さと膨大さでマスターできる気になれない言語だったりします。まず自習するには覚悟と根気が要りそうなのです。・文の基本要素の名詞・代名詞・形容詞、動詞が変化する。・英語の原形-過去-過去分詞にあたる、動詞についての膨大な変化の基本となる形が6つもある。それらがそれぞれ語形変化する。・双数や中動態があったり。もちろん格支配も。・更に動詞で言えば、時称は7種。そのいくつかに不定詞・分詞がある。法は直説法のほかに、接続法に加えて希求法も。・その他、アオリスト、加音、畳音、約音、幹母音、本時称・副時称等と用語のオンパレード。・・・等。 （第一印象はというと、名詞等の格は余り多くない。曲用は大きくは第一・二変化と第三変化までしかない。動詞もω活用、μι活用の大きく2種類しかない。・・・等一見、ラテン語と比べると与し易そうに感じる。ところが実際はそう簡単でなく、基本原則に対して変則が多くあり、語形の形態変化に音韻が影響しあって、体系的な文法構造が重層的になっていく仕掛け。 文法をなんとなくわかったつもりでは、いざ個々の文章を前にすると慣れない文字と相まってちんぷんかんぷん。変化をマスターしないと辞書も引けない。まさにIt's all Greek to me.初等文法を一通り仕上げないと全体像は掴めないものの、延々と少しずつ違う話が続く、全か無かの底なし感。しかも、地域や時代によって相違が大きいとくる。でも、ご利益はというと辞書と文法書を引き引きしながら原書を原文のまま読めるのとギリシア語由来の語彙に馴染めるくらいなもの。専門としなければ実用性は期待できず、世間では英語全盛で中国語人気の昨今、由緒正しい昔ながらのやり方ではモチベーション維持もなかなか難しい。） そんな感じの中で初級文法書を通読して訳読を繰り返すしか入門の方法が実際なかった。◯『読める書けるアラビア文字練習プリント』（小学館）が出来た時、ギリシア文字もあればと思ったものです。古典語にはNHK語学講座やテキストみたいな便利な物もない訳ですし。 それがようやく形になって、しかも文字・発音・文法・語彙と文章、分量のバランスはかなり良い感じの仕上がり。 ギリシア語をかじるのに丁度よい分量かと思います。 更に学習したければ『CDエクスプレス』（白水社）や、田中松平『入門』（岩波書店）や、『四週間』（大学書林）等にいきなり挑戦する前の準備段階として良い橋渡しになりそうです。◯この分量であれば、ギリシア語のちんぷんかんぷんさが丁度よい刺激になって脳トレも期待できそう。しかも、ギリシア哲学や新約聖書等の歴史と文化に関わり教養的。 本書は、古典ギリシア語が気になり始めた方にとって、万人向きの良書だと思います。※この後、初級文法をマスターするために、高津『基礎ギリシャ語文法』か、池田『古典ギリシア語入門』で文法の整理や文章読解とかができれば理想なんだろうなと思っているのですけれど、いずれも入手困難で手元に置けないのが残念。『練習プリント』の後やれる、読解と文法の整理もできる面白い本があればいいんですけれどね、ホント。